企業の正社員不足が過去10年で最高 人手不足関連での倒産が増加
人手不足を感じる企業は増えており、求人難による企業倒産も増加傾向にある。人材確保は、大きな経営課題になっているようだ。
現在の正社員の過不足状況を聞いたところ、43.9%の企業が「不足している」と回答し、半年前の2016年7月調査時から6.0ポイント増加したほか、過去10年で最高に達した。
調査では、企業の規模が大きいほど不足感が強いことが指摘されている企業の正社員不足が過去10年で最高 人手不足関連での倒産が増加
企業倒産数が6年連続の減少も人手不足による倒産は増加 偏った経済状況
帝国データバンクは7月8日、2015年上半期(1月~6月)の全国企業倒産集計を発表、倒産件数は4,400件で6年連続の前年同期比減少、負債総額は9,752億600万円で3年連続の前年同期比減少といずれも改善した。燃料価格の低下や公共工事の増加が背景にあるようだ。一方、「人手不足倒産」が中小企業の間で増加していることが、東京商工リサーチが7月8日に公表したデータで明らかになった。
負債総額は3年連続の前年同期比減少、上半期としては2000年以降最小で、負債総額9,752億600万円と、前年同期を8.3%下回り、3年連続の前年同期比減少に。
一方で、仕事はあるのに人手不足のために倒産せざるを得ないという皮肉な現象が東京商工リサーチのデータ集計で浮上している。2015年上半期(1-6月)の「人手不足」関連倒産は155件(前年同期144件)。内訳は、代表者死亡などによる「後継者難」型が136件(同128件)、「求人難」型が14件(同10件)、「従業員退職」型が5件(同6件)だった。企業倒産数が6年連続の減少も人手不足による倒産は増加 偏った経済状況
ワタミよりヤバイ? 有名チェーン
大手居酒屋チェーンのワタミが1996年の上場以来、初の赤字転落。8日発表の決算では純損益が49億円の赤字で、前年と比較すれば84億円のマイナス。その一因となったのが、人手不足による相次ぐ店舗閉鎖とされる。
「飲食店でのアルバイトの平均時給はここ2年ほど右肩上がりで、20円以上も増えています。ほかでも時給が上がっているのですから、ひとつのバイト先にとどまる理由がなくなり、ちょっと過酷だとほかへ移るという現象が起きているんです」(経済紙記者)
実際、ワタミだけでなく牛丼チェーンの「すき家」でも、人手不足により今年2月から123店舗が休業したことが伝えられている。都内の「すき家」で3月まで勤務していた20代男性によると「深夜営業を担当していましたが、昨年、人件費を抑えるためにバイト2人体制から1人体制に変えられ、トイレにさえ行けない現場に嫌気が差して退職した」という。ワタミよりヤバイ? 有名チェーン
ワタミ、相次ぐ死亡事故で訴訟続出 新入社員数は目標の半分、初の赤字…渡邉氏批判も
いまやブラック企業の代名詞的存在となってしまった居酒屋チェーンのワタミ。そんなワタミ内部に、変化が起きているという。
今月、ワタミは2014年3月期連結最終損益が49億円の赤字となり、1998年の上場以来初の赤字に陥ったと発表。同社が運営する居酒屋チェーン「和民」の苦戦が原因のひとつとも報じられている。決算発表の記者会見で同社の桑原豊社長は、今年4月に入社した新卒社員は、目標の半分の120人だったことを明らかにした。同氏はその要因として、人手不足という外的環境の変化や、同社の成長戦略が曲がり角に来ていることを挙げた。
●相次ぐワタミへの訴訟
実際に、ワタミでは、女性社員が6日連続深夜勤務などで時間外労働が月140時間を超えるなどして適応障害を発症し、自殺する事件が発生した。
その後、遺族が渡邉氏らを相手取り、計約1億5300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。
また、ワタミのグループ会社「ワタミの介護」が運営する施設で、当時74歳の女性が入浴中に溺死したことや、当時87歳の男性が床ずれを悪化させ敗血症になるまで放置され、その後入院した病院で死亡したことも昨年報じられている。
さらに、今年2月には弁当宅配会社「ワタミタクショク」の担当者が、独り暮らしの女性宅を弁当宅配のために訪問した際、玄関チャイムにその女性が応答しなかったにもかかわらず立ち去り、翌日死亡しているのが発見された。その女性の息子は同社と安否確認サービスの契約もしていたため、渡邉氏と宅配担当者らに損害賠償を求める訴えを起こしたワタミ、相次ぐ死亡事故で訴訟続出 新入社員数は目標の半分、初の赤字…渡邉氏批判も
ピーチの大量欠航で露呈した パイロット不足危機の構造
格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが5~10月に、2000便規模の大量欠航を出すことになった。機長に多数の病欠者が出た上、採用が思うように進まなかったことが原因だ。
ピーチの現行のパイロット数は108人で、うち機長は52人居る。年初から4月までに、病気とけがに加え、航空法が定める身体検査の基準を満たせずに就業できない機長が8人も発生した。ピーチの大量欠航で露呈した パイロット不足危機の構造